8ビット箱

お店でプログラミング

大阪なら日本橋とか、東京なら秋葉原とか、いわゆる「電気街」と呼ばれる聖地で、昔も今もパソコンが並んでいて、ある程度は自由に触れたり、繰り返し表示されるデモンストレーション画面が映し出されていたり。 触ってみると、すぐに店員さんが飛んできて、「いかがですかー」と即座にセールストーク開始。 家電量販店に行くと、自分で考えたりする時間もなく、触らせてもらってる間は背後からジーっと定員さんに見つめられる、そういう感じの現代。

80年代に入ったすぐ辺りのマイコンブームが訪れた頃は、今のような状況とはだいぶ違っていて。 ちなみに、個人的にはそういった聖地へ行くのではなく、近所のスーパーの、おもちゃ売り場とか、家電売り場へ通うのが、ほぼ日課だった。 その理由は単純で、わたしの住んでた場所から聖地まで行こうと思うと、何日分のお小遣いを消費して、やっと電車の片道切符が買える、というところだったので。

そんな当時の小学生だったわたしは、マイコンなんて小遣い貯めても簡単には買えないし、親に言っても買ってもらえない高額なものなので、マイコンを自由に触ることができる徒歩5分圏内にあったスーパーへ通うことで充実したマイコンライフを日々を過ごしていたわけで。 幼少期から親が普通にパソコンとかスマホとか持っているような、そんな時代とは全く違う古い時代。 ちなみに、当時の家にあったカラーテレビは、まだリモコン無くて、手でがちゃがちゃ回してた。

当時のマイコンは、あまり洒落たデモンストレーションのプログラムは動かされていなくて、電源オン直後に起動するBASIC画面のまま放置されていることがほとんど。 これはとても好都合で、ほぼ100%自由にそのマイコンが操作できる状態とも言えるわけで、当時のマイコン好きなナイコン族たちは、こういったショップへ通って、自由にプログラミングしたり、本体持ってないのにゲームソフトは持っていて、それを持ち込んで遊んだりして。 わたしはゲームソフトを買うお金も無かったので、マイコンBASICマガジンを毎月買って、その雑誌をスーパーへ行くときに持参して、その雑誌に載っているゲームのプログラムをコツコツと入力して遊んだり、少しBASICがわかってくると改造したりして、自然とBASIC言語を覚えてしまった。 小学校で授業中、ノートに自作のゲームを作って、そして学校が終わったらスーパーへ行って入力。 バグが出たら悩んで、問題箇所を次の日にまた学校で考えたりして、学校終わったらまたスーパーへ。 学校が休みの日は、朝から晩まで家電売り場のマイコンコーナーが遊び場。

インターネットとか無くて(実際には存在していたけど、まだ大学とか軍用に使われてた時代……)、情報を集めるには本や雑誌などで、もう1つの情報入手源はまさにこういったマイコンを置いていたショップが情報交換の場所にもなってた。 マイコン売り場の担当員もまた情報発信役、伝達役みたいになってたことも。 今の時代、当時のようにわざわざその場所へ行って、知らない人と会話して情報を入手したりするとかなると「めんどくせー」「うぜー」とか声が聞こえてきそう……。 このコミュニケーションがとても楽しくて、わくわくして、お互いの得意としている情報を伝えあったりと、とても懐かしく思う。

今でもそのスーパーは存在し、営業しているけど、当時の面影は一切残っていなくて、大盛況だったマイコンコーナーのあった家電売り場は移動されて、しかも半分以下に小さくなっていて、ほとんどお客さんもいなくて。 だけど、あのフロアに行くと、あの頃の思い出がフワッと今でも蘇る。 テレビやオーディオの音よりも、マイコンから奏でられるPSGやビープ音で賑やかだった、あの場所。 プログラムして、RUNして、「あーー!バグったー!」と嘆いている子ども。 親が後ろから不思議そうに覗き込んでたり。 あまりに長く居座ると、いつの間にか貼られた張り紙「一人1時間まで」。 ショーケースの中は、8インチや5インチのフロッピーディスクや、マイコン用として売られてたカセットテープの陳列。

スーパーの家電売り場に小学生がわんさか遊んでるなんていう光景、恐らくはもう今の時代には考えられない状況なんだと、思う。

ちなみに、当時そのスーパーに並んでいた機種は時代に合わせて製品が移り変わっていったけど、今でもしっかり全部覚えてる。 通ってたのは3年間くらい。

  • NEC PC-6001
  • NEC PC-6001mkII
  • NEC PC-8001
  • NEC PC-8001mkII
  • NEC PC-8801
  • SONY SMC-777
  • CASIO FP-1000
  • SHARP X1
  • SHARP MZ-700
  • SHARP MZ-1200
  • SHARP MZ-2000
  • SHARP MZ-2200
  • FUJITSU FM-8
  • FUJITSU FM-7/NEW7
  • MSXいろいろ(Panasonic、Fujitsu、Sony, Sanyo, Toshiba)

当時、常に誰かが触っていて、わたしが触られなかったのは人気のX1。 必ず誰かがゲームしてた。 キャノンボールとか、爆弾男とか。 そして、逆にいつも確実に誰も触っていなかったFP-1000があって、わたしは結構これで遊んでた。 でも大抵はPC-6001の前にまずは行ってた。 MZ-1200とかMZ-2000はBASICが動いていなくて、ただ陳列されてた状態だった。 でも、あのフォルムはとてつもなくかっこよくて、すごくプロっぽい感じがした。 だけど、ゲームするのが目的だったので、BASICが電源オンですぐに動かないそのクリーンな仕様は、わたしにとっては逆効果。 自由に触れないから、あまり強い興味が持てないマシンになってしまった。 (でもその後、結局のところMZ-80B2とMZ-1500のユーザ時代を味わうことに。すぐ手放してしまったけど。)

その後、スーパーのマイコン売り場に「一人1時間」張り紙が貼られた辺りから、別の近所にある小さな家電量販店へ通うようになった。

そしてそこで念願のPC-6001mkIIを購入。

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